野菜の食卓

野菜の食卓

暑い日が続いています。今年10年ぶりに植えたベランダのミニトマトはここ数日真っ赤に色づき始めました。園芸家の友人にすすめられてこれならできそうと始めたのは植栽用土の袋に穴を空けて鉢の代用にするもの。まったく土をいじる必要がなく封を開いてそこに買ってきた苗を植えただけです。以前イベントで使った麻の袋を巻き、植木鉢用のキャスターの上に乗せるとぐっと見栄えも良くなりました。居間から見える南側のベランダに25リットルの袋を3つ。、この3か月ほど毎朝様子を眺めています。葉がしおれてきたころに午前中水をやります。水やりは3日に一回ほど、楽です。強風で支え合っていた添え木ごと倒れていたり、葉がこすれたり、折れたりのアクシデントにも負けず、思いのほか丈夫で中心の新芽は空に向けてけなげに伸びようと吹き返します。いよいよ今週初物の収穫の時を迎えます。ヘタがピンと張っている元気の良いミニトマトはまずは記念の写真に収め、仏壇に供えてからいただくつもりです。

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野菜の食卓について

食事のことを切り盛りしていた母が80歳を過ぎて、食事の支度をしなくなり、仕事で多忙だったこともあり、食卓にコンビ二やスーパーで買った食事ばかりが並ぶ日が続いたとき、これは何かが違うと感じ始めました。母が亡くなってから、私が食べたいのは小さいころから母が作ってくれていた野菜中心の食事であったことに気づきました。

春の山菜のにがみや夏のウリ類の歯ごたえ、実り秋のきのこの山の香り、冬凍った樽から取り出していただく漬物、四季折々の野菜が並ぶ食卓は季節の思い出と結びついて心の中に豊かで優しい気持ちを呼び起こします。自分でそんな食事が作れたらとしばらく料理教室に通いました。それからは野菜にこだわった料理ばかりを作るようになりました。野菜の旬を通して季節感にも敏感になりました。

食事会で野菜料理をたくさん作ると、皆さんに喜ばれます。私の周りの野菜好きは決まってもっと野菜を食べたいけれどワンパターンになりがちでバリエーションが少ないと言います。野菜の料理はボリュームを出すのが難しく手間がかかると言います。ならば楽しく作れて、おいしく食べて満足感もあり、自ら作って食べたい、食べさせたいと思う人のための、野菜料理を学ぶ場所を作るというアイデアが浮かびました。それは生活習慣病予防や長寿社会へのカラダにやさしい食生活、食育活動などとも結びついて意義がある仕事と思うようになりました。

何より野菜を切ったり、野菜に触ったりしているだけで幸せな気持ちになります。好きを仕事にしたいという気持ちが高まり以前の仕事を辞めて野菜に関われる仕事に大きく舵を切りました。こうして「旬」の野菜の食べ方を食卓に提案しそのノウハウを実地で学び合い、一緒にいただく料理サロン「野菜の食卓」は2005年夏に誕生しました。料理教室というよりは料理サロン、倶楽部のような場所、教えるといっても上下の関係はなく、田舎のおばちゃんに野菜を扱うコツを教わるような場所、野菜を好きになる場所、食卓で季節感を感じられる場所、を目指しました。

野菜が好きで通ってくる人たち同士も仲間のようになり、長く通う人たちも増えてきましたので、2010年からは初心者の人たちも参加しやすい「旬セレクト」コースを開設しました。2016年からはそれぞれ初心者向けとして「独活(うど)倶楽部」、3年以上通っている人向けに「茄子(なす)倶楽部」と名称を変えてスタートします。

食を取り巻く環境もこの10年で大きく変わり、食生活での野菜の重要性は日増しに大きくなっているようですが、個々の生活の中での野菜の存在は希薄になっているようにさえ思います。季節の野菜の記憶が今の食卓につながって元気をいただいている私自身がそうであるように「野菜の食卓」に関わる人たちの未来にも豊かな食の記憶の宝物を残せたら本望です。

野菜の食卓ギャラリー