野菜の食卓

野菜の食卓

街を歩く人たちもジャケットを羽織ったり、長袖をだったりで梅雨寒の6月で時間が足踏みしているようで、7月とは思えません。気温の低さと日照不足は野菜の生育にも影響が出ているようで、この一週間ほどで夏野菜の値段が一気に上がり、必要最低限の量を慎重に購入する日々に戻ってしまいました。梅雨明けに山積の夏野菜が並ぶ八百屋の軒先の風景が見られるのかどうかちょっと心配になってきました。今月の「野菜の食卓」ではレモングラス、コリアンダー、カランガー、バイマックルート、スペアミント、青パパイヤなど異国の食材を使ってタイ料理を作りました。今までは上野御徒町まで買出しに行っていたのですが、今回は近くの西川口の駅のそばのバンコックストアですべて揃いました。小さなお店ですが、業務用の大きな単位ではなく、普通の家庭で使える程よい単位になっていてとても買いやすかったです。お店は生鮮食品を買い求め故郷の料理を自炊する若い女性で込み合い、タイ人ながら日本語でも対応するお店のl雰囲気に好感ました。時代の変遷を感じます。

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野菜の食卓について

食事のことを切り盛りしていた母が80歳を過ぎて、食事の支度をしなくなり、仕事で多忙だったこともあり、食卓にコンビ二やスーパーで買った食事ばかりが並ぶ日が続いたとき、これは何かが違うと感じ始めました。母が亡くなってから、私が食べたいのは小さいころから母が作ってくれていた野菜中心の食事であったことに気づきました。

春の山菜のにがみや夏のウリ類の歯ごたえ、実り秋のきのこの山の香り、冬凍った樽から取り出していただく漬物、四季折々の野菜が並ぶ食卓は季節の思い出と結びついて心の中に豊かで優しい気持ちを呼び起こします。自分でそんな食事が作れたらとしばらく料理教室に通いました。それからは野菜にこだわった料理ばかりを作るようになりました。野菜の旬を通して季節感にも敏感になりました。

食事会で野菜料理をたくさん作ると、皆さんに喜ばれます。私の周りの野菜好きは決まってもっと野菜を食べたいけれどワンパターンになりがちでバリエーションが少ないと言います。野菜の料理はボリュームを出すのが難しく手間がかかると言います。ならば楽しく作れて、おいしく食べて満足感もあり、自ら作って食べたい、食べさせたいと思う人のための、野菜料理を学ぶ場所を作るというアイデアが浮かびました。それは生活習慣病予防や長寿社会へのカラダにやさしい食生活、食育活動などとも結びついて意義がある仕事と思うようになりました。

何より野菜を切ったり、野菜に触ったりしているだけで幸せな気持ちになります。好きを仕事にしたいという気持ちが高まり以前の仕事を辞めて野菜に関われる仕事に大きく舵を切りました。こうして「旬」の野菜の食べ方を食卓に提案しそのノウハウを実地で学び合い、一緒にいただく料理サロン「野菜の食卓」は2005年夏に誕生しました。料理教室というよりは料理サロン、倶楽部のような場所、教えるといっても上下の関係はなく、田舎のおばちゃんに野菜を扱うコツを教わるような場所、野菜を好きになる場所、食卓で季節感を感じられる場所、を目指しました。

野菜が好きで通ってくる人たち同士も仲間のようになり、長く通う人たちも増えてきましたので、2010年からは初心者の人たちも参加しやすい「旬セレクト」コースを開設しました。2016年からはそれぞれ初心者向けとして「独活(うど)倶楽部」、3年以上通っている人向けに「茄子(なす)倶楽部」と名称を変えてスタートします。

食を取り巻く環境もこの10年で大きく変わり、食生活での野菜の重要性は日増しに大きくなっているようですが、個々の生活の中での野菜の存在は希薄になっているようにさえ思います。季節の野菜の記憶が今の食卓につながって元気をいただいている私自身がそうであるように「野菜の食卓」に関わる人たちの未来にも豊かな食の記憶の宝物を残せたら本望です。

野菜の食卓ギャラリー